マグロを美味しく、長持ちさせる解凍方法

塩水・氷水解凍は大変素晴らしい解凍方法です

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元々TV等で「真水・氷水解凍」がお勧めされて一時期評判となっていましたが、

当社であらゆる解凍を同じマグロで試食会を行ったところ、

どんな解凍でも真水をつけたら味と色が落ちるというのが当社の結論でございます。

また、メバチはともかくインドマグロを使うなら塩水・氷水解凍か、塩水解凍が必須でしょう。

 

ここでは、マグロが最も美味しく、最も色身の出る「塩水・氷水解凍」をご紹介致します。

 

・メリット

1.ほとんどドリップが出ないため、最も生の味に近くなる(美味しくなる)

2.色持ちがとても良くなり、特殊漁場のマグロであれば最大5日は色が持続する(マグロの状態にも左右されます)

3.0℃に近い水で溶かすため、氷をたくさん入れれば夏でも冬でも解凍時間が変わらない

4.やり方が固定化されているため、大将・料理長以外の誰でも出来る

 

・デメリット

1.サクの状態でも1時間~2時間かかるため、他の解凍に比べて非常に時間がかかる(ただし放置できるため管理は不要)

2.カワラやブロック等の大きな塊では解凍時間が現実的ではない(6時間程度)

 


解凍方法ごとの味のおいしさランキング

当社社員で試食会でのランキングは以下になります

 

1位.塩水・氷水解凍 (資料URL)

 全員これが一番おいしかったというほど圧倒的でした

 当社のネットショップ商品は全てこの解凍方法で解凍できるようになっています。

 

2位.塩水解凍 (資料URL)

 さすが現在の主流、色良し味良し手間いらず

 

3位.真水・氷水解凍 (資料URL)

 以前は当社でもお勧めしていた解凍でしたが今一つ。

 

次点.真水解凍

 色が薄くなり、何より味がまずくなりました。

 海水魚であるマグロにとって淡水は毒だと考えると納得の結果でしょうか。


マグロの解凍メカニズム

興味のある方はお読みください。

なぜ氷水が良いかといわれる所以ですが、それを説明するには、まず科学的な部分と過去の解凍方法等を1つずつ説明する必要がございます。

 

まずマグロにとって最も悪い温度帯は-1℃~-5℃(最大氷結晶帯)と、-3℃~-7℃(マグロの変色が激しい温度)の2つがあります。

最大氷結晶帯は、水の粒がとても大きな氷になりやすい温度帯で、マグロがここに留まっている時間が長ければ長いほど、

大きな氷が周りの細胞を潰して、ドリップを大量に発生させて味の低下を招きます。

-3℃~-7℃は、マグロの赤く発色する成分であるミオグロビンの変色が最も激しい温度帯です。

ここに長く留まるとあっという間にマグロが黒くなります。マグロの名前の由来が「真黒」と呼ばれるようになった原因です。

 

マグロの解凍はここを素早く通過させて解凍する、というのが常に課題であった魚でございます。

 

まず、マグロを凍ったまま冷蔵庫で解凍する「自然解凍」

これは氷水に近い低温度で解凍するため、一見良さそうに見えますが、

残念ながら空気は熱伝導率が非常に悪いため、解凍にとても時間がかかってしまう事と、

温度にとてもムラがあるため、温度が上がって下がってを繰り返すため、一部だけ解凍が進んで、他が遅い等で悪い温度帯にとても長くとどまりやすい解凍です。

結果としてドリップが大量に流出し、色持ちもあまりよくありません。

 

次に古くからある「真水解凍」

水道水を溜めてそこでマグロを投下して解凍しようと方法で、古くからあり未だに採用しているお客様もいらっしゃいます。

水は非常に熱伝導率が良く、マグロを全体的に均一に解凍が進むため、温度の問題はクリアーできます。

しかしここで問題になるのが、「浸透圧」と呼ばれる塩分濃度の問題です。

皆様、お風呂に入ったとき手がふやけることはないでしょうか?

人間の体には塩分が多少含まれるため、塩分を全く含んでいないお風呂の真水が塩分濃度の高い人間の手に水が入ってくるのです。

これがマグロの中でも同じことが起こります、マグロにも多少塩分が含まれているため、

真水をかけてしまうとマグロの中に水が入ってしまいます、この結果いわゆる水っぽいマグロが出来上がってしまうのです。

 

そして生まれたのが「塩水解凍」

熱伝導率の良い液体で、浸透圧の問題もクリアーするために塩分を混ぜた塩水で解凍する方法です。

ここでよく勘違いされる方がいらっしゃいますが、海水ではございません。

マグロの塩分濃度と同じにするには、一リットル当たり塩約40グラム。

これでマグロの中に水が入ることをある程度防ぎつつ、液体で解凍することが出来ます。

理由はわかりませんが、色もとても赤く出るため、多くのお客様がこちらを採用しております。

業務用等で大量、大きい塊を溶かすのには優れた解凍方法です。

 

 

そしていま最も新しい解凍方法がほぼ0℃の水で解凍する「塩水・氷水解凍」

表面のカスを塩水で洗い落とし、マグロをビニール袋に入れて、氷水の中で緩やかに解凍するという方法ですが、

まずビニール袋に入れて真水に触れないことで浸透圧の問題をクリアーしています。

真水につけるのが悪いならそもそもつけなければ良いのです。

次に、なぜ0℃に近い温度で解凍するのかという部分ですが、

氷水で解凍をすると、「内側も外側も同時にほぼ同じ温度で解凍が進む」というマグロ業界に衝撃が走る程の結果が出たのです。

この結果断熱効果なども一切生まずに、結果として塩水解凍より内側まで解凍が素早く終わることが判明したのです。

解凍時間にさえ目をつぶれば他の解凍に比べて圧倒的にバランスが良く、

色・味・長持ち、あらゆる面において優れております。

 

当社でもサンプルをお持ちするときは必ず氷水で解凍してお客様にお渡ししております。

稀に「サンプルより全然悪いじゃないか!」というお言葉を頂くことがあって

「氷水で解凍しておりますが、お客様はいかがでしょうか?」と会話を続けると

お客様は真水で解凍していて、氷水解凍を採用するとサンプル通りの美味しいマグロになった、というお話もございます。

 

 

このため、当社丸吉水産では塩水・氷水解凍を一般家庭でも業務上においても強く勧めております。


冷凍マグロの保存方法

冷凍マグロを保管する場合、出来れば-60℃の冷凍庫を

冷凍マグロの適切な保管温度は「常に-40℃を下回る温度」

つまり開閉時や霜取り時にも-40℃以上にならない-60℃が適切な温度です。

家庭用冷凍庫や‐30℃程度では冷凍マグロは保管できません

 

これは-40℃以上になると凍っていても細胞が活動を始めるため、変色や身質の劣化が発生し始めます。

これを防ぐために、開閉時や霜取り時にも-40℃以下になるために、メーカーは-60℃という温度を設定しています。

特に業務用で使用する場合、どうしても開け閉めが多くなってしまうため、

ストッカータイプの-60℃が好ましいです。

-60℃の冷凍庫は確かに値段的にもお高いですが、

冷えない冷凍庫を使ってダメになったマグロがたくさん出た方が、最終的には高くつきます。

マグロ業者がいうのもおかしな話ですが、マグロって高いですからね…